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近視抑制治療(低濃度アトロピン治療)

そもそも「近視」とは?

私たちが物を見る時、毛様体筋という筋肉が水晶体の厚みを調整することでピントが合い、くっきりとした像として認識できます。遠くを見る時には毛様体筋が弛緩して水晶体が薄く、近くを見る時には毛様体筋が緊張して水晶体が厚くなります。
そのため、近くを見る時間が長いと、毛様体筋は常に緊張を強いられることになるため、遠くを見た時に視野がぼんやりとします(仮性近視)。単発的な仮性近視であればそれほど問題ありませんが、仮性近視の状態が繰り返されると、慢性的に遠くが見えづらくなる「近視」になります。

そもそも「近視」とは?

近視の見え方

近視の場合、近くの物ははっきり見えます。一方で遠くの物は、ぼやけて見えづらくなります。
本来であれば網膜上で合うピントが、網膜より手前(前方)に合っているため、このような見え方になります。

近視抑制治療の種類

近視は、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正が可能です。
ただ、それ以外にも、近視の進行を抑える「近視抑制治療」というものがあります。

低濃度アトロピン治療

眼軸の伸長を抑制する低濃度アトロピン点眼薬「リジュセアミニ」を毎日1回、就寝前に点眼するという治療です。
低濃度アトロピン治療により、近視の進行抑制効果が約60%程度あると言われています。また、副作用もほとんどありません。対象となるのは、5歳以上の軽度~中等度の近視の子どもです。また、3ヶ月ごとの定期的な通院も必須です。

オルソケラトロジー治療

毎晩、就寝時に専用のコンタクトレンズを装用し、角膜の形状を矯正することで、日中の視力を改善する治療です。
長期的に使用することで、子どもの近視の進行を抑制する効果が期待できます。低濃度アトロピン治療との併用が可能です。

多焦点ソフトコンタクトレンズ

多焦点ソフトコンタクトレンズは、もともと老眼矯正のための遠近両用コンタクトレンズとして使用されていました。近年、近視の進行の抑制に有効であるということが分かってきました。
低濃度アトロピン治療との併用が可能です。

眼鏡

国外では、眼軸の延長および近視の進行を抑制することを目的とした特殊な眼鏡による治療も行われています。

子供の近視抑制治療「低濃度アトロピン治療」とは

子供の近視抑制治療「低濃度アトロピン治療」とは眼軸の伸長を抑制する低濃度アトロピン点眼薬「リジュセアミニ」を1日1滴、1日1回就寝前に点眼するという治療です。
近視は、主に小児期に進行します。高度な近視は視力喪失、黄斑変性症、網膜剥離、緑内障などの原因になることもあるため、近視の進行を抑制することが、これらの眼疾患のリスクを下げることにつながります。
近視の多くは、眼軸長の伸長によって引き起こされます。そして一度伸びた眼軸長は、戻る(短くなる)ことがありません。低濃度アトロピン治療は、約60%近視進行抑制効果が認められています。また、副作用もほとんどありません。なお、治療期間は少なくとも2年以上、近視の進行が落ち着く10代後半頃まで続けること推奨しています。治療終了後も、近視が進行していないことを確認するために、定期的に眼科を受診しましょう。

治療の対象

  • 5歳以上
  • 中等度(-6.0D)以下の近視の方
  • 3ヶ月ごとの定期通院が可能な方

近視抑制治療(低濃度アトロピン治療)の検査方法

当院では、視能訓練士によって以下のような検査を行い、近視の状態、低濃度アトロピン治療の適応であるかを、正確に判断いたします。

屈折検査

近視・遠視・乱視の程度、原因を調べる検査です。
子どもは大人よりもピントを合わせる力が強いため、その調節力を一時的に麻痺させる点眼薬を使用した上で、検査を行います。

視力検査

視力を調べる検査です。ランドルト環の使用が難しい、読み分けが難しい場合には、そういったお子さん専用の視力表を用いて、視力を測定します。

視機能検査

偏光レンズ、イラストなどを用いて、弱視の有無および立体視の能力などを調べます。

眼位・眼球運動の検査

目をペンライトで照らしたり、片目を隠して眼球の動きを観察するなどして、斜視の有無、眼球運動の状態を調べます。

低濃度アトロピン点眼薬の特徴

当院では、近視の進行を抑制するための治療として、低濃度アトロピン点眼薬「リジュセアミニ」を主に使用しています。従来取り扱っていた「マイオピニオン(0.01%)」も継続してご提供可能です。
低濃度アトロピン点眼は、シンガポール国立眼科センターでの研究に基づき、開発・製造されています。国内でもすでに商標登録されており、全国の7つの大学で臨床研究が行われた、安全性の高い点眼薬です。
低濃度アトロピン治療によって近視の進行を抑えることは、将来的な視力喪失、黄斑変性症、網膜剥離、緑内障などのリスクを下げることにつながります。

低濃度アトロピン点眼薬の特徴

  • 1日1滴、1日1回就寝前に点眼することで、近視の進行を抑制することが可能です。
  • 1回分(1本)の容器を切り離し、薬液が入っていない部分を持って、容器先端をねじって開封します。
  • リジュセアミニは防腐剤を含まない1回使い切りタイプです。点眼後は薬液が残っていても再使用せず、必ず廃棄してください。
  • 目の遠近調節機能に、ほとんど影響を与えません。
  • 継続して使用することで、近視の進行を平均60%軽減させると言われています。完全に近視の進行が止まるわけではありません。
  • 手元を見る作業にほとんど影響を与えないと言われています。
  • GMP(医薬品製造管理および品質管理基準)に準拠した工場で製造されており、安全です。

リジュセアミニについて
詳しくはこちら

低濃度アトロピン点眼薬が選ばれる理由

近視の進行を抑える効果が顕著に認められる唯一の治療

オルソケラトロジー治療、多焦点ソフトコンタクトレンズの装用など、近視抑制治療にはいくつかの種類があります。その中で、低濃度アトロピン治療は眼軸長の伸長および近視の進行を抑える効果が顕著に認められる、唯一の治療と言われています。
低濃度アトロピン治療により、近視の進行は約60%、軽減されると言われています。

副作用がほとんどない

点眼後、数時間にわたって瞳孔が開き光を眩しく感じる副作用があるものの、就寝前の点眼ですので、日中には問題なくお過ごしいただけます。

安全性が高い

シンガポール国立眼科センターの研究によると、2年間の継続的な低濃度アトロピン点眼を行っても、アレルギー性結膜炎・皮膚炎、眼圧の変化、白内障の発症、瞳孔が開き続ける、調節機能の低下、網膜への影響などは報告されませんでした。

低濃度アトロピン治療の流れ

1適応検査

適応検査屈折検査、視力検査、視機能検査、眼位・眼球運動検査、角膜形状解析、光学式眼軸長測定、細隙灯顕微鏡、眼底検査などを行い、低濃度アトロピン治療の適応となるかどうかを判断します。
適応となれば、低濃度アトロピン点眼薬を発注します。

2治療開始

改めて治療内容・副作用について詳しくご説明した上で、点眼を開始します。
眩しさ、手元の見えにくさ、目のかゆみ・充血、皮膚炎、動悸などの症状が気になる場合には、すぐに当院にご連絡ください。

31週間後の定期検査

検査、治療の評価、点眼薬使用状況の確認などを行い、問題なければ点眼薬を追加処方いたします。
この時に点眼薬による異常があった場合には、治療を中止することがあります。

41カ月後の定期検査

1カ月後の定期検査検査、治療の評価、点眼薬使用状況の確認などを行い、問題なければ点眼薬を追加処方いたします。
以降、3ヶ月ごとに定期検査を行います。なお、治療は2年以上継続していただくことをおすすめします。

低濃度アトロピン治療の費用

  費用(税込み)
適応検査 3,300円
1週検査 550円
定期検査(3か月毎) 550円
リジュセアミニ0.025%点眼液 1箱(30本) 4,350円
マイオピン0.01% 1本 3,970円

※2024年6月1日より、納入価格高騰のため上記価格へ変更となりました。何卒ご了承お願い申し上げます。
※この治療は自由診療です。
(保険診療や子ども医療費助成制度は適応されません。)
※オルソケラトロジー治療と低濃度アトロピン治療併用も可能です。
※予約制です。